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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 146,725 characters · 298 screens
「金座の後藤が、勘定奉行へ送って極印を打って貰う、吹き立ての小判が六千両、常盤橋外で、車ごと奪られた、そのとき人足が二人、役人が一人斬られたが、これもまた品も下手人も、現れない」
「その小判には極印が打ってあるでしょうか」
「捺してないはずだ」
「通用出来ませんね」
「十年も経って、世間で忘れているから、極印ぐらいはなくとも、今なら少々は通用するかも知れないよ、もっとも極印の贋を作れば、それっきりだ。お上で知らないうちに、通用しているかも知れない」
遠藤佐仲まことに心得たことを言います。
「それだッ」
「あ、驚いた、何がそれだ」
「いえ、こっちの事で、どうも御手数を掛けました。有難う存じます」
平次はその足で目黒へ――。
「目黒の兄哥、大方見当が付いたぞ。今度の曲者は一と筋縄では行かないわけがある。何十人でもいい、大急ぎで掻き集められるだけ人数を集めて貰いたい――」
兼吉を呼出して、そっと囁きます。
「いいとも」
顔の良い兼吉は、即座に子分や諜者を呼びました。一刻も経たないうちに、近江屋の庭に集まった人数はざっと三十人。
「有難い、これだけありゃどんな狸でも逃しっこはねえ、型ばかりの家探しをさせて、日が暮れたら一人残らず帰る振りをするんだ。