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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 146,725 characters · 298 screens
「二人で相談をして、あの晩梶親娘を殺したのさ、――誘い出したのはたぶん三次だろう」
「蔵座敷で将棋を指していた二人じゃありませんか」
「それが手だ。二人の口が揃えば、まず大概の疑いは晴れる。その上あの蔵座敷には、番頭達に知らさずに外へ出る道がない――と思われていたが、蔵の二階の窓へ、裏から梯子を掛けておけば、二人はいつでも自由に出られたはずだ。二人揃って裏二階の窓から梯子で脱け出すとは、ちょっと気が付かなかっただけの話さ。あの晩は雨も降らないし、下がよく乾いていたから、梯子の跡も残らなかったろう。――いや、残ったところで、誰も気の付かない日が四五日続いたんだから、どんな細工でも出来る」
「ヘエ――」
「堂守の留守を狙って、たぶん小峰助右衛門の名を騙り、梶四郎兵衛を呼出したろう。梶四郎兵衛ほどの人間も、闇から射出された剣を防ぎようがなかった――あの剣の刃が縦でなく横に入っているのと、あんまり真っ直ぐに突っ立っているのと、もう一つ鍔と柄を後からはめて、目釘を忘れたのが不思議だと思ったよ――鍔や柄があっては、剣を弓で射出すわけには行かない――鍔や柄は後ではめ込んだのさ」