Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 143,455 characters · 290 screens
船の中の荷物はザッと二十七八。その全部を運び終ると、後に残ったのは、頭巾を目深に冠った男と女の二人でした。
「これでよし、帰ろうか」
「帰りましょう」
歩みを移す二人の前へ――。
「御用ッ」
ヌッと突っ立ったのは八五郎のガラッ八です。
「何?」
「御家人喜六、唐人お勇、神妙にせい」
パッと組付いて行くガラッ八、お勇は身をかわして、トンと肩のあたりを突きました。
「ワッ」
二三歩泳いで立直るガラッ八、その後ろから、
「えいッ」
御家人喜六の一刀が闇を劈くのを、
「俺が相手だ、来いッ」
横合いから飛込んだ十手が、ガッキと受止めました。
「邪魔だッ」
「抜荷の悪事、吉五郎殺しの下手人まで露顕をしたぞ、観念せいッ」
「何をッ」
御家人喜六は、お勇を後ろに庇って、一刀を闇に構えます。
「御用ッ、御用ッ」
八方から、ヒタヒタと詰めよる捕方の人数。
「えッ、寄るな寄るな、一人残らず切って捨てるぞッ」
御家人喜六の腕は抜群でした。
「伝馬はこちらで仕立てた偽物だ、仲間は一人残らず生捕られたぞ、神妙にお縄を頂戴せい」
先刻、船から揚げた荷物を、一つ一つ担いで行った子分は、回向院に通夜をすると見せかけた、江戸中の手先に、一人残らず後を跟けられ、落着く先で縛られたとは、御家人喜六もまだ知らなかったでしょう。