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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 143,455 characters · 290 screens
第一に飛び込んで来たのはガラッ八。
「何があったんだ」
と平次、さすがに腰が上がります。
「近頃下谷中の古道具屋から、鈴を買い集めた者があるって言いますぜ」
「本当か、八」
「本当か――は情けねえ、この足で歩いて、この耳で聞いたんだ。間違いっこはねえ、その上、堂宮の拝殿の鈴がチョイチョイ盗まれる」
「何だと」
「親分、こりゃどこかに鈴を集めて謀反でも企む奴があるに違えねえ――」
「馬鹿だなお前は、鈴が鉄砲玉の代りになるかよ――ところで、その鈴を買いに歩くのは男か女か」
「男も女も、武家も、町人もあるってことですよ」
「いつ頃から始まったことなんだ」
「なんでも半年ばかり前からボツボツあった事だが、激しくなったのは、この二三日だってことですよ」
「よし、それで解った、八」
「ヘエ――」
「手前、いつでも、親分のためなら命を投げ出すと言うね」
平次は少し屹となります。
「言いましたとも、憚りながら小判形の八五郎、金や命に糸目は付けねえ」
「糸目を付けたくも、金なんか持っちゃいめえ」
「図星ッ、親分の眼鏡は曇らねえな」
「幸い命だけは一つ持っているだろう、そいつをちょいと貸してくれ」