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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 143,455 characters · 290 screens
「親分さん」
「いや俺にはだんだん判って来る、――巾着切りは重くて遠島、せいぜい叩き放しか追放で済むが、三千両の盗人は、獄門か打首だぜ」
「親分」
お兼はざすがにギョッとした様子ですが、どこまでも、ガラッ八のケチな財布を狙ったんだと言い張ります。
「よしよし、それじゃお前の言う通り、巾着切りで奉行所へ送るとしよう、――だが、お兼、お前の巣はどこだい」
「…………」
「言えまい。――種々仕掛は楽屋にちゃんと用意してあるはずだ。顔へ煤を塗る手は古いが、眼尻へ鬢付油を塗って、頬の引っつりを無二膏で拵えるとは新手だったね。跛足は右と左を間違えなきゃア滅多に知れっこはねえが、三月の間、髪へ埃と煤を塗りこくった辛抱には驚いたよ」
「…………」
「八、大急ぎで谷中へ行ってみな。清養寺の飯炊きのお類という相模女は、昼前に出たっきり帰らないはずだから、その荷物を一つ残らず纏めて引揚げるんだ。――旦那、お聞きの通りでございます」
平次は後ろを向いて首を垂れました。そこには与力の笹野新三郎、黙って平次の明察を聞いていたのです。
「そのお兼は、清養寺の飯炊きに化けていたのか」
「万に一つ間違いはございません。