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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 143,455 characters · 290 screens

Aozora Bunko

俺が、下手人が解った、今指さしてやる――と言った時は、さすがに金之丞も顔色が変ったよ」

平次の話は明快ですが、まだ八五郎には解らないところだらけです。

「遠州屋のお内儀を殺したのは誰でしょう、あの時は金之丞は確かに階下に居たはずだが」

と八五郎。

「俺もそれが判らなかったが、金之丞ではあるまいか――と疑っていた。第一、柳原で俺達へ飛付いた時、あの闇の中で、不意に俺と気の付いたのが可怪しい」

「なアる」

「羽織の背を切ったのも、刀で斬り下げたのではなくて、小刀で静かに破ったのだ。切り口が曲っている――と俺はあのとき言ったろう。金之丞は、自分が狙われているように見せかけたのだ」

「ヘエ、なるほどね」

「それから、物干から遠州屋のお内儀を突き落した人間は、お内儀に続いて、物干の柱を伝わって飛降り、半分気を喪ったお内儀の頭を、三角石で叩き割った」

「…………」

「お内儀は突き落された時と、石で頭を打たれた時と、二度悲鳴を挙げた。それは番頭の言う通りだ。上から落ちた勢いで頭を打って死んだものなら、落ちる音がしてから悲鳴を挙げたという爺やの言う事が嘘になる。それから、お内儀の肩に青い痣になった打撲は、落ちた時の本当の怪我で、三角石へ真っ逆さまに落ちて死んだものなら、あんな傷はつくはずはない」