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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens

Aozora Bunko

「そんなことは端折ってもいいよ」

「だんだん慾の皮が突っ張って、谷中の不動堂の堂守、海念坊に三十両の金を貸したのが、三年経たないうちに利に利が積って百両になった。海念坊は不動堂を修覆するとき、講中の金の寄りが悪いので、ツイ高利と知りながら借りた金だが、大口の寄付の当てが外れて、今ではどうすることもできない」

「フーム」

「そのうち、不動堂の本尊が運慶とか湛慶とかの作で、望み手があれば千両にもなると教えるものがあって、叶屋重三郎は証文を楯に不動堂に押しかけ、海念坊が額を敷石に叩き、血の涙で頼むのも聴かず、とうとう本尊の不動明王を、自分の家へ持って来てしまった、――これが今から三日前」

「ひどいことをする野郎だな」

平次もなんとなくカッと血の湧くのを感じました。

「不動堂の堂守の海念坊は講中へ申し訳が立たないと言って、翌る朝堂の中で首を吊って死んでしまいましたよ、可哀想に」

「身寄りはないのか」

「ありゃしません。――たった一人の甥の千代松が、叶屋に奉公しているだけ――」

「変な廻り合せじゃないか」

「千代松は一番先に怪しいと思われたが、こいつは女の子のような優しい男で、人間などを殺せそうもない――その上昨夜は不動堂の叔父のお通夜をしていた」