Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens
銭形平次捕物控
一
――夜逃げをするほどの不義理もないから、もしか」
八五郎はまたゴクリと固唾を呑みました。
「誘拐されでもしたんじゃあるまいかという話だろう。――あの眼から鼻へ抜けるような悧巧者のお由良が、金紋先箱で迎いに来たって騙されて行くものか」
「それじゃ駆落――」
「駆落なんてえのは馬鹿のすることだよ。本所の叔母さんとか、湯島の従妹とかのところへ行っているんだろう」
「そんなのはありませんよ。どうかしたら?」
「待ってくれ、悧巧者のお由良だけに気になるぜ。近ごろ懇意にしている男でもなかったのか」
「近いうちに、伊勢屋の治三郎と一緒になるという話はありますがね」
「それじゃお由良には玉の輿だ。祝言前に評判を立てられるようなお由良じゃあるめえ。――こいつは変だよ、もう一度行ってみるがいい」
「ね、親分」
ガラッ八の八五郎は一生懸命でした。そのころ飯田町の飲屋の看板娘でお由良というのは、色の浅黒い丸ぽちゃの二十歳娘で、さして綺麗ではなかったのですが、滴る愛嬌と、抜群の才気で、見る影もない小料理屋の娘ながら、神田から番町へかけての人気を呼んでいるのでした。
ちょっと一パイの折助や手代から、二階へ押し上がって大尽風を吹かせる安旗本の次男三男、大店の息子手合まで、お由良の愛嬌に溺れる者も少なくなかった中に、ガラッ八の八五郎もさんざんお賽銭を