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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens
四
この紐は誰のだ」
平次は少し嵩にかかりました。いつもの平次にはないことです。
「…………」
相変らず黙りこくっている福松。
「八、この野郎を縛ってしまえッ」
「ヘエ」
八五郎は少しばかり腑に落ちない様子でした。これだけの証拠で人を縛らせるなどは、平次の日頃の流儀にはないことです。
「縛らないか、八」
「ヘエ――」
八五郎は立ち上がりました。
「御用だぞッ、野郎ッ」
振り上げた十手の下へ、
「待って下さい、親分さん。その腰紐は私の物です。福松は私を庇っただけでございます」
転げ込んだのは、四十三四の女、――いやそれは後で年齢を聴いてから四十三四と判ったことで、ちょっと見は三十二三と言ってもいい上品な女でした。
「お国、馬鹿なことを言うな」
主人の半兵衛はそれを庇うように手を拡げましたが、
「いえ、隠しても無駄でございます。その腰紐が私のだということは、家中で知らないものはございません」
後添いのお国の美しい顔は、緊張に蒼ざめて、夫半兵衛の拡げた腕の中から、歎願するような眼を平次の方に向けるのでした。
三
改めて今朝の様子を訊くと、朝、雨戸を開けて、お吉の死骸を見付けたのは下女のお作。