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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens
銭形平次捕物控
一
「お仲、お前は誰かを庇ってはいないか」
「いえ」
平次は改めてお仲に訊ねました。
「お前と主人の話を立聴きして、開けておいた丸窓から、そっと入って主人を殺したのは、手代の千代松かも知れないと、お前は思っているだろう。――それなら安心するがいい。千代松はゆうべ不動堂から一と足も出なかったし、丸窓から男が入って来たのを重三郎が黙っているはずはない。――それに千代松なら、お前の持物の匕首で、主人を殺すはずはない。お前に迷惑をさせるのは、千代松の本意ではないはずだ」
「本当ですか、親分」
そう言って振り仰いだお仲の顔は、初めて明るくなりました。千代松に疑いのかかるのを、一生懸命で防いでいた様子です。
「親分。た、大変ですぜ」
ガラッ八が飛んで来ました。
「なんだ、八」
「逃げ出しましたよ、あの女が」
「お三が逃げ出したというんだろう。放っておけ、放っておけ。俺は先刻から気がついていたんだ。お仲が口を割ったら逃げ出すつもりで、仕度をしているのを知らずにいるものか」
平次は驚く様子もありません。
「すると?」
「重三郎を殺したのは、あのお三だよ。親の敵を討つ気だったんだ。主人とお仲の話を聴いて、お仲が離屋へ行かないことを百も承知のお三は、お仲の着物を着て、手拭か何かで顔を隠して行ったんだ。