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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens
「八、手荒なことをするな」
平次は八五郎をたしなめて、お仲の俯向いた顔を差しのぞきました。
「だって親分」
「短刀はこの女の持物でも、主人を殺したのはこの女とは限るまい。なア、お仲」
「え、その通りです。――短刀は私の品に相違ございません。――父親の形見ですもの。でも、旦那様を殺したのは私ではありません」
お仲は静かに顔を挙げました。
「それじゃ、今朝なんだって丸窓を締めた」
平次の問いは爆撃的でした。
「えッ」
「隠すな、お仲。けさ四人で離屋へ飛び込んだとき、丸窓だけは開いていたはずだ。――いや締ってはいたが、桟もおりず、掛金も掛ってはいなかった。番頭の孫六が雨戸を開けるうち、――お内儀と娘が死骸に取縋っているうち、お前はガチャガチャやりながら丸窓を開けた」
「…………」
「締ってもない丸窓を、いかにも締っているように見せかけながら開けた。――あれはどういうわけだ」
「…………」
「隠すな、――俺にはよく判っている。不動様が人を殺すわけはない。主人を殺した曲者はどこからか出たに違いないが、障子も窓も締っていた。――そのうちどこか一箇所だけは開いていたはずだ。障子ではない、雨戸でもない、あいつはガラガラ恐ろしい音を立てるから、曲者はあんなところから入るはずも出るはずもない。