Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens
二合、三合、猛烈な襲撃にたまり兼ねて、平次は辛くも飛び退きました。
距離さえ出来れば、得意の投げ銭が物をいいます。
「御用だぞッ」
三つ、五つ、八つ、平次の手から投り出される青銭は、左母次郎の眉間へ、唇へ、肘へ、拳へと飛びますが、左母次郎は一刀を巧みに使って、その十の八つ九つまではハネ返します。
それは実に恐ろしい相手でした。
そのうえ、一度は逃げた黒装束の武家が、いつの間に戻って来たか、左母次郎が危なくなると、平次の後ろから牽制して、必勝の止めを妨げるのです。
「八」
平次はとうとう怒鳴りました。
「応ッ」
どこからともなく八五郎の声が応ずると、それを合図に物の蔭、町家の庇、塀の袂、――あらゆる場所から、御用の提灯が無数に現れて巴になって斬り結ぶ三人を照らし、それに続いて、十重二十重の捕物陣が、ヒタヒタと押し寄せます。
平次は先の先まで見抜いて、この辻斬病を袋の中に追い込んだのでしょう。
「ウ――ム」
北条左母次郎も、事態を察しました。これだけの人数を斬り抜けることは、人間業ではできそうもありません。
「御用」
「御用だぞッ」
六
「神妙にせい」
四方に迫る御用の声の中に、平次の声は凜として響きました。