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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens
「土蔵の石の唐櫃に、八千両の金のあることを、お前は知らなかったのか」
八五郎の問いは方向を変えました。
「少しも知りません」
「父親は?」
「そりゃ、店の支配を頼まれたくらいですから、知っていたでしょう」
「ゆうべ家を抜け出して、土蔵へ入ったことをお前は知っていたはずだと思うが」
「気がつきませんでしたよ。部屋が離れている上、私は大寝坊で」
そう言われると、それっきりのことです。
二
問題の土蔵は小さい方の雑用蔵で、そこには穀物や荒荷や、粗末な道具類しか入っておらず、こんな場所に八千両の大金が隠されていようとは、全く思いも寄らぬことでした。
しかも山のように積んだ雑物の奥、筵やら、空箱やらを取除けた跡に、漆喰で固め、角材を組んでその上に幅二尺、長さ四尺、高さ三尺ほどの御影石の唐櫃――三寸ほどの短い足の付いたのを、社の御手洗鉢のように据えてあるのですが、百貫近かろうと思う同じ御影石の蓋は、後ろの方にはね除けたまま、縁に付いた血潮までもそのままにしてあったのです。
覗くと中は幾千枚とも知れぬバラの小判、――その上に二つの千両箱を載せて、土蔵の薄暗い中にも、入口から射す光線を受けて、真新しい山吹色に光ります。