Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens

Aozora Bunko

「どんな鍵だ」

「鉄の大きな鍵ですよ。先の曲った、太い柄の付いた」

「で、どうした」

「滅多にないことですが、仕方がないから若旦那に申上げて、神棚に載せてある、替え鍵を拝借して開けました」

「その替え鍵は滅多に使わないのだな」

「十年に一度使ったり五年に一度使ったり、滅多に持出しません」

若主人の藤吉は答えました。

「近頃は?」

「七八年使わなかったようです。神棚からおろした時は、大変な埃で、手が真っ黒になったくらいですから」

「それから」

八五郎は小僧の定吉を促しました。

「替え鍵で開けて入ると、平常使っている鍵は、蔵の中に抛り出してあって、中の様子がだいぶ変ってるじゃありませんか。おや? と思いながら奥へ入って行くと、空箱や筵を取除けた後に、見たこともない石の唐櫃があって、その蓋に挟まれて――」

小僧の定吉はゴクリと固唾を呑みます。

「その蓋に挟まれているのが、すぐ弥惣と判ったのか」

「え、朝っから見えないって騒いでいたんですもの。その着物も昼のまんまだし」

定吉は賢くも、いろいろのことに気が付くのです。

しかしたったこれだけのことで、弥惣の死を過失でないとは決められません。