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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens
首筋の打撲傷はその時橋架へでも打っ付けたのかも知れない」
「待ってくれ、元町の親分。これは一体どうしたことだ」
死骸の首から肩のあたりへかけて、皮下出血らしい不気味な斑点があり、首筋のあたりは砕かれておりますが、充分、疑いを持たせた口の中は、何の異常もありません。
「毒ではないよ。口の中は少しも変っていない」
仙太は平次の顔にこびり付く難しい疑いを解くようにこう言うのです。
「だが、この打撲傷はおかしいぜ」
「橋架でなきゃ水の中に杭でもあったのかな」
「こいつは考えてみると判らないことばかりだ」
平次はそう言いながら、死骸の上に筵をかけてやって、片手拝みに側を離れました。
「柳屋の親爺が来ているが、逢ってみないか」
「そいつはいい塩梅だ」
平次はガラッ八に合図をして、お由良の父親をつれて来させました。崖の上を削ったほんの少しばかりの空地ですが、ここで調べるには、往来から見える気遣いはありません。
「親分さん方、御苦労様でございます――」
よく禿げた五十年輩の小さい中老人――弥吉は、卑屈らしく二つ三つお辞儀をして手を揉むのでした。
「爺さん、とんだことだったね」
「ヘエ、ヘエ」