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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens
と平次。
「月の光に照らされた死顔を見ると、私は急に死ぬのが怖くなりました。――ここでお由良の死骸が見付かると、私と幾松に疑いがかかると思ったので、恐々ながら、橋の欄干の間を潜らせて、お由良の死骸を川へ落してしまいました」
「その時、死骸が橋架か水除けか何かに引っ掛らなかったのか」
「いえ、真っすぐに水の中へ落ちましたよ。――大きな音を立てて――私は大急ぎで帰って来て、まんじりともせずに明かしてしまいましたが――」
お関の言うのは、本当でしょう。今は死の恐怖から解放されて、どうともなれといった捨鉢な気持が、疲れ果てた五十女の、自白となった様子です。
六
「親分」
「どうした八」
「本郷三丁目の生薬屋じゃ、お関へ附子なんか売らないって言っていますよ」
「?」
ガラッ八の報告は平次にも予想外です。
「お関は――鼠が多いから、石見銀山の代りに附子を欲しいと言って来たが、ひどく突き詰めた様子だし、橋の袂で駄菓子を売っているお関の苦労も知っているから、うっかり毒薬を売るわけにも行かず、番頭と相談して、附子だと言って、実は砂糖を売ったと――手代が言うんです」
「本当かい、それは?」