Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,230 characters · 280 screens
「フーム」
「それから吹矢だ。――六間も上の綱を渡っている人間に道具裏から吹矢を飛ばして、こめかみへ一寸も射込むのは、小染の外にない、どうだ」
そう言われるとまさに一言もありません。
「一応係り合いの者に会ってみたいが――」
ガラッ八は諦め兼ねました。
「銭形の親分が後から来るのかい」
「いや、親分は甲府へ行って、いつ帰るか解らない。親分がいちゃ、こんな出すぎたことはさせないから、ちょいと後学のため四ツ目の親分の調べようを見ておくのさ」
ガラッ八は一世一代の智恵を絞る気――とはさすがに言いません。
「いいとも、銭形の親分が夫婦連れで来たって、他に下手人は挙がるわけはない。さア、こう来るがいい」
定吉に伴れられて、形ばかりの大部屋へ行くと、そこは百鬼夜行の有様でした。白粉を塗ったの塗らないの、派手な舞台衣裳を着たの、小汚い不断着のままの、いろいろの男女が六七人、吹溜まりのように部屋の隅の、火のない火鉢を囲んで、脈絡も系統もないことを、ボソボソ話しているのです。
「お前は?」
ガラッ八はその中でも一番逞しそうな三十前後の男を捉えました。
「玉之助でございます」
竹乗りの名人で、小艶、小染と共にこの小屋にはなくて叶わぬ人気者です。