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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.861 Zeichen · 480 Bildschirme

Aozora Bunko

四

驚きも、声の出るのはまだいい。

高大之進も、左膳も、室内の一同、まじまじと箱の中をのぞいた眼を、互いの顔へパチクリかわしているだけで、なんの言葉もありません。

そうでしょう、大きな鍋が、鉄のつるを立てて、箱のなかにどっかと腰をすえているところは、真っ黒な醜男が勝ちほこった皮肉の笑いを笑っているようで――。

「ウム!」

「フーム」

左膳と大之進が、いっしょにためいきをついたとき、鍋に、一枚の紙片のはいっているのが眼についた。驚きのあまり敵も味方もなくなって、左膳が拾いあげてみると、達者な筆で、

「ありがたく頂戴」

とある。

四

橋の下の小屋住居に、朝夕眼をはなしたことのない壺。

それが、こうして中身が変わっていようとは!

いつ、何者にぬすまれたのか、左膳にも、チョビ安にも、すこしの心当りもありません。

左膳とチョビ安、四つの眼、いや三つの眼で見はっていた壺が、いつのまにやら鍋に化けて、しかも、ありがたく頂戴と嘲笑的な一筆。

丹下左膳不覚といえば、これほどの不覚はないが、がんらいが剣腕一方のかれ左膳、いかなる手品師の早業か、すきを狙われては、どうにも防ぎようがなかったらしく。