Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.861 Zeichen · 480 Bildschirme
十二
駄弁をろうして立ちなおりながら、とっさに相手を見ますと。
右眼がつぶれ、そのうえに深い刀痕の這っている蒼い顔。
右の袖をブラリとゆりうごかし左手に大刀の柄をおさえた異様な浪人者だから、今の雑言でテッキリ斬られると思った屑屋。
「うわあっ、かんべんしておくんなせえ。こ、このとおり、あやまりやす、あやまりやす」
飛びのいて、必死に掌をあわせて拝みました。
ところが。
見向きもしないその片腕の浪人は、
「おれの粗相だ。許せよ」
と、ひとことはき捨てて、案に相違、トットと通りを向うへ駈けさってゆく。
ひどくいそいでいるようす。
さきへ走る子供に追いついて、二人で浅草のほうへ一散に……。
「なアんだ、あんな侍でも、さすがにこのおれ様はこわいとみえる。あはははは、お尻に帆あげて逃げていきゃあがった。ざまア見やがれ」
いい気になって左膳のあとを見送ったのち、肩の籠を一揺りゆりあげて、
「エエ屑イ、屑イ……お払いものはございやせんか」
尺とり横町へはいっていきます。
「屑やでござい。屑イ、屑イ――」
「チョイト、屑屋さん!」
横町の中ほど、とある小意気な住居の千本格子があいて、色白な細面をのぞかせた年増があります。