Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.861 Zeichen · 480 Bildschirme

Aozora Bunko

五

逃げるほうもよく逃げたが、追うほうもよく追った。あれからまっすぐにお蔵前へ出たチョビ安は、浅草のほうへいちもくさんに走って、まもなく行きついたのが吾妻橋のたもと。

ふっとチョビ安の姿が、掻き消えた。ハテナ!――と与の公、橋の下をのぞくと、狭い河原、橋杭のあいだに筵を張って、お菰さんの住まいがある。

飛びこんだ与吉、いきなりそのむしろをはぐったまではいいが、あっ! と棒立ちになった。

中でむっくり起きあがったのは、なんと! 大たぶさがぱらり顔にかかって、見おぼえのある隻眼隻腕の、痩せさらばえた浪人姿……。

五

「これは、これは、丹下の殿様。お珍しいところで――その後は、とんとかけちがいまして」

とつづみの与吉、そうつづけさまにしゃべりながら、ペタンとそこへすわってしまった。

いい兄哥が、橋の下の乞食小屋のまえにすわって、しきりにぺこぺこおじぎをしているから、橋の上から見おろした人が、世の中は下には下があると思って、驚いている。

筵張りのなかは、石ころを踏み固めて、土間になっている。そのまん中へ、古畳を一まい投げだして、かけ茶碗や土瓶といっしょに、ごろり横になっているのは……。