Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.861 Zeichen · 480 Bildschirme
机上の白い手が、無意識にもてあそぶのは、父の故郷に近い博多みやげの、風雅な、ちいさな、一対の内裏雛。
灯にはえるその顔が、みるみる蒼白くゆがんで、やがて得耐えず、鈴をはったような双の眼から、ハラハラと涙のあふり落ちたのは、きっと亡き父のうえをしのんだのでしょう。と、たちまち、きっと引きしまった口もとに、言いようのない冷笑の影が走って、
「まあ、ほんとうに、お母さまとしたことが――」
おもわず洩れるひとりごとは、やくざな継母、あのお蓮様のうえを、ひそかにあざけりもし、またあわれみもしているとみえます。
すると、つぎに、その萩乃の表情に、急激な変化がきた。眼はうるみをおびて輝き、豊頬に紅を呈して、ホーッ! と、肩をすぼめて長い溜息。
思いは、またしても、婿ならぬ婿、夫とは名のみの源三郎のうえへ――。
「源さま、源三郎様……」
熱病のようにあえぎながら、萩乃は、夢中で手にしていた二つの博多人形、その男と女の小さな人形を、机のうえにぴったりくっつけて、置きました。
そして、じっと見入る眼には、消えも入らんず恥じらいの笑みが――。
その時、障子のそとの廊下に、人の体重をうけたらしくミシと鳴る板の音。