Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.861 Zeichen · 480 Bildschirme

Aozora Bunko

なんだか変てこな、どす黒いかわいたものだ。それを船型の薬研に入れて、ごろごろ丹念に摺りつぶしている。

お爺さんが病気なので、お美夜ちゃんはいじらしいほどおとなしい。両手を膝に、眼をまんまるにして、ひげの伸びた祖父の顔をジッと見つめたまま、チョコナンと枕もとにすわっています。と、不意に、

「チョビ安お兄ちゃんは、どこへ行ったかわからないのねえ」

と、こどもながらも何かしら、しんみりした口調で申しました。

蒲団からのぞいている作爺さんの顔が、痩せた笑いにゆがんで、

「お美夜や、安はわしらを見捨てたのじゃ。モウ戻ってこんのだから、お前もそういつまでも、チョビ安のことを言うんじゃない」

と、悲しそうです。泰軒はチョビ安のことは知らないから、だまってゴリゴリをつづけている。

みすぼらしい部屋に、ちょっと、暗い沈黙が落ちました。

と、ちょうどその時です。誰やらおもての戸を、ドンドンドンとたたく音。

長屋の者が、また悶着でも持ちこんできたか?……と、泰軒先生が眉をあげたとたん。

ヒラリ! そとの路地から家の中へ、生あるごとく舞いこんできた一枚の紙片――投げこんだ人はそのまま立ち去るらしく、しのぶ跫音が、いそいで遠ざかってゆく。