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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.861 Zeichen · 480 Bildschirme

Aozora Bunko

まるで、それにヒントを得たかのように、部屋の片隅にねむりこけるチョビ安が、ハッキリした声で、寝ごとをいいました。

「お美夜ちゃん、お美夜ちゃん!――お前はどうしている。おいら、こうしていても、おめえのことばっかし思ってるぜ。オイ、お美夜ちゃん……」

子供に、恋慕のこころはありますまい。ただの友情ではあろうが、はげしくお美夜ちゃんをおもう気もちが、いまこの寝ごととなって、チョビ安の口を出たのです。

たった一声。

あとは何やらムニャムニャと、眠りながら笑っているのは、夢は荒れ野を駈けめぐり……じゃない、夢はとんがり長屋へ帰って、お美夜ちゃんに会っているに相違ありません。

その、チョビ安の寝ごとを聞いたときに、お藤姐御の胸は、しめつけられた。

思わず、ホーッともれる長いためいき――。

「あああ、子供でさえも、思う人のことを、あんなに、夢にまで口に出すのに……ほんとににくらしい情なしだ」

浴衣をかさねた丹前の裾に、貝細工のような素足の爪をみせて、凝然とたちすくんでいる櫛巻お藤、艶なるうらみをまなじりに流して、ジロッと左膳の君を見やりますと。

左膳はそれも聞こえないのか。