Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Lesen Sie 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 151.766 Zeichen · 303 Bildschirme
もう日がしずんで、空は暗くなっていましたが、まだ、まったく夜になっているわけではありませんから、屋根の上も、ぼんやりと見えるのですが、そのうす暗い二階の屋根のてっぺんに、黒いものが、ヌウッと立っていたのです。
アッと思ってたちどまると、そのあやしいすがたは、たちまち、屋根のむこうに消えてしまったので、チラッと見たばかりですが、スミ子ちゃんには、ひと目でわかりました。
それは、一月ほどまえ、あの時計塔の屋根に、黒いマントをひらひらさせていた、こうもり男とそっくりのすがただったではありませんか。
屋根のむこうへ消えるときに、こうもりの羽根のようなマントが、パッと、ひるがえるのが見えたのです。顔は、暗くてよくわかりませんでしたが、黒いめがねをかけていたようですし、ふさふさした髪の毛のあいだから、二本の角がのぞいていたように思われました。
スミ子ちゃんは、夢中でおうちにかけこんで、おとうさんやおかあさんに、そのことを知らせましたが、おとうさんは、
「スミ子は、本を読みすぎるのじゃないか。こわい小説なんか、読んではいけないよ。ありもしないまぼろしを、見たりするようになるからね。