Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
しばらくすると奥庭の方へそっと忍び入って、また縁の下へ潜ろうとする気色であります。首尾よく縁の下へ潜り了せたか、それともその辺に忍んで立聞きをしているのだかわかりませんが、とにかく、それっきり姿を消してしまいました。
ややあって、ウーとムク犬の唸る声がしました。いったん米友をつれて帰って来たムク犬が再びどこかへ行って、また立戻って来たものと見えます。この唸る声を聞くと、あわてふためいて縁の下から転がり出したものがあります。それは以前の金助でありました。
金助の狼狽の仕方は夜目にもおかしいくらいであります。二三度ころがって、やっと塀まで行くと、塀際の柳の木へ一生懸命で走せ上ってしまいました。柳の木へ登ると共に、塀へ手をかけて飛び移って、塀を乗り越えて往来へ出て、それからあとをも見ずに一散に闇と靄との間を走りました。その勢いは脱兎の如くであります。
「ああ危ねえ、今夜という今夜は、犬もいねえし、首尾も大分いいから、思い通り忍び込んで、さあこれからという時分に、また犬が出やがった。ほんとにあん畜生、俺の苦手だ」
五六町も走ったあとで、とある町の角の火の見梯子の下に立って、金助はホッと胸を撫で下ろしました。