Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

十

「とにかくも、この屋敷へ落着いたことは当座の仕合せ、この上は一日も早く全快して、ひとまず甲府の土地を立退かねばなりませぬ」

「早く御全快なすって下さいまし。兵馬様、わたしはこんなものを持って参りました」

と言いながらお松は、持って来た風呂敷包を解くと、真綿でこしらえた胴着でありました。

「お気に召しますか、どうでございますか」

と言って、その胴着のしつけの糸かなにかを取りますと、

「それほど寒いとも思わぬが、せっかくのお志だから」

兵馬は蒲団の上に坐り直して、挿帯をしていたのを解きかけました。

「兵馬様、これから毎日お訪ねしてもよろしうございますか」

「悪いことはないが、人に咎められると迷惑ではないか」

「誰にも知られないように用心して参りまする」

「それでも、この家の主人に知られぬわけにはゆくまい」

「こちらのお殿様は、お君さんを可愛がっておいでなさいますから……」

お松は面を赧らめます。

十

あとを慕って送って来るムク犬を無理に追い返した米友は、甲州の本街道はまた関所や渡し場があって面倒だから、いっそ裏街道を突っ走ってしまおうと、甲府を飛び出して石和まで来ました。