Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「はい、わたくしは」

「ともかくも、拙者が屋敷まで見えられるように」

「有難う存じまする」

「見廻りの者が来ないうちに」

「それでもこの子が……」

「さあ、その子は……」

二人がその子の始末に当惑している時に、火の番の拍子木が聞えました。

三

破牢のあったというその当夜から、ひとり胸を痛めているのはお松であります。

その破牢者のうちに宇津木兵馬があったということは、今や隠れもなき事実であります。けれどもその行方が今以てわからぬというのは、今宵もまんじりともしないほどお松の心を苦しめていました。お松の耳に入ったいろいろの噂は、破牢者のうちの無宿者の一隊は、どうやら山を越えて秩父の方へ逃げたものと、信濃路へ向ったものとがあるらしいということのほかに、その主謀者と見做されるものは、どうしてもこの市中に潜伏していなければならないということでありました。主謀者とは誰ぞ、宇津木兵馬はその人ではあるまいけれど、その人に荷担した時はその人と責任を共にする人であるとは、お松も想像しないわけにはゆきません。

してみれば、兵馬さんはこの甲府の市中のいずれかに隠れている。どこに隠れているだろう。