Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

九

ああ、咽喉が乾くように人が斬りたい。あの幸内とやらは逃げたそうな、長持の中の窮命人は逃げたそうな、せめて彼でもいたら斬ってみたい、一人では斬り足らぬ。どうしてまた、今宵はこれほどに人が斬りたいのだ」

竜之助はほんとうに乾いた咽喉を鳴らしているのでありました。それは血を飲みたいがために乾いた咽喉であります。

「ああ、甲府は狭い、一夜のうちに二人と人が斬れぬ、江戸へ出たい、江戸へ出れば、好みの人間を好むように斬ることができるのだ――今宵斬れば明日の晩は遠慮せにゃならぬ。甲府の土地にはおられぬ、江戸へ出る工夫はないか。江戸へ出て思うままに人を斬らねば、おれは生きてはおられぬのだ」

彼は狂する者のように、刀の血の香いを嗅いでいるのでありました。

九

その翌朝、甲府の市中がまた沸き立ちました。それはまたしても辻斬があったからであります。

その騒ぎ方と驚き方と怖れ方とが、今までよりも一層甚だしかったのは、斬られたのが女であったからであります。今まで斬られた者のうちに女は一人もありませんでした。昨夜斬られたのは女でありましたからです。

それは八日市へ呉服屋を出して、いくらもたたない若夫婦でありました。