Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
「おや」
なんらの変事もないと思ったのは、米友がこの峠を初めての旅人であったからであります。竹筒を持って作事小屋の中へ入った時までは気がつかなかったけれど、そこへ来て見ると、今の米友にとってはかなり重大な変事が起っていることを知りました。
「握飯がねえや」
五箇の握飯のうち三箇を食べてしまって、あと二箇を残しておいたことは紛れもなき事実であります。その二箇とても、なにも嫌で残したわけではない、食べたくて食べたくてたまらないのだけれど、それをなるべくうまく食べようと思って、わざわざ途中で休んで水を汲みに行ったものであります。その取って置きの二箇の握飯、しかも胡麻のついた大きなのが、わずかの間に消えてなくなっていたのだから、さすがの米友も力を落さないわけにはゆきません。
しかし、米友の気象として、一時は力を落しても、そのまま引込んでいることはできないのであります。
「太え奴だ、誰が盗りやがった、人の大切の胡麻のついた握飯を盗んだ奴はどこにいる、こっちは嫌で残しておいたんじゃねえや、これから水を一杯飲みながら、旨く食べようと思って取って置いたんだ、それを持主に黙って盗った奴はどこにいる、遠くへ逃げる隙があるわけでねえから、どこかそこらにいやがるんだろう、この堂の中か、堂の後ろあたりに隠れていやがるだろう、やい、人