Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

「御免下さりませ」

と言ってお角がそこへ訪ねて来ました。

「これはどなた」

という声は、少年にしてはあまりに優しい声であります。

「生憎の雨で、さだめて御退屈でいらせられましょう」

「これは御内儀でござったか。生憎の雨のこと故、もう一日、出立を見合せまする」

「どうぞ御悠りとお留まり下さりませ、なにしろ、音に聞えたこの笹子峠でござりまする、お天気の時でさえ御難渋の道でござりまする」

「明朝は駕籠を頼み申しまする」

「はい畏まりました。あの、明朝はこのように雨が降りましても、やはり御出立でござりますか」

「左様……雨が降っては」

「雨が続きましたら、もう一日御逗留なさいませ、ごらんの通りの山家、お構い申し上げることはできませんけれど」

「しかし……ちと急ぐこともある故、もし明朝は雨が降っても峠を越したいと思いまする」

「左様でござりまするか。左様ならばそのように駕籠を申しつけておきましょう」

「よろしく頼みまする」

「それではそのおつもりで……どうぞ御悠りと」

お角はお辞儀をして出て行こうとすると、

「あの、御内儀……」

美少年は何か頼みたいことがあるもののように、立ちかけたお角を呼び留めました。