Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
ちょうどそれを程よいところでクギリをつけてから筆をさしおいて、その椅子から立ち上って、
「お君どの、よく見えましたな、一人で……」
と言って能登守は、真中にある方の大きな卓子の方へ進んで、
「さあ、それへお掛けなさるがよい」
「はい」
能登守は、お君に椅子をすすめながら、自分も椅子に凭りました。お君はようやく、その椅子へ腰を卸して、能登守と卓子を隔てて座にはつきましたけれど、恥かしいやら恐れ多いやらの感じで、胸がいっぱいです。
「先日は結構な下され物を、まことに有難う存じました」
やっとの思いで、お君はこれだけのお礼を、能登守の前へ申し述べたのであります。
「ナゼお前は、わたしのところへ来てくれない」
と能登守は砕けてこう言いました。その言葉の温かみは感じたけれども、その意味がお君には、よく呑込めませんでした。
「お礼に上ろうと存じましても、あまり恐れ多いものですから……」
お君は、おどおどとして申しわけをしました。
「お前がわしのところへ来てくれると、わしは嬉しいけれども、伊太夫の家で、お前を放すことはできぬというからぜひもない」
と能登守は、お君の横顔を見ながらこう言いました。