Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

市五郎が、あとを顧みてこう言ったから、米友は、

「ちぇッ、提灯の火が暗えなあ」

米友は腹の中で業をにやしました。米友が身体を固くして、固唾を呑んで、その上に業をにやして待っているのは、今、市五郎がお嬢様と呼び、お女中さんと呼んだその人の影をよく見たいからであります。まもなくそこへ現われたのは――一層口惜しいことに頭巾を被っています。頭巾を被って面の全部はほとんど見えないから、米友が身悶えしているうちに、その頭巾を被った若い娘は前の方の駕籠へ、市五郎が手を取って乗せて垂を下ろしてしまいました。

「ちぇッ」

米友は口惜しがって地団太を踏みましたが、続いて同じような形をして、同じ年頃の娘が、これも同じように頭巾で面を包んで出て来たのを見ると、

「おや」

米友は実にカッとしてしまいました。

「おっと待ってくれ」

こう言って暗の中から飛び出してしまったのは、米友としてはぜひもないことであります。

「何、何だと」

はしなく米友がその場へ飛び出したことによって、その場は大混乱を惹き起しました。

その混乱を聞きつけて折助どもが飛び出して来ました。折助どもが米友を支えている間に、市五郎は、差図してズンズン駕籠を進ませてしまいました。