Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
この一語は、少なからずお君の胸を騒がせました。今までは身分の違う人の前と、見慣れぬ結構の居間へ通されたことから、気がわくわくしていたのですけれども、能登守の今の一言は、それとは全く異った心でお君の胸を騒がせました。
「わたくしは左様なことを、いっこう承りませぬ、主人からも、そのようなお沙汰のあったことをお聞き申しませぬ故に……」
「ナニ、それを聞かぬ? では、わしがお前の身の上について、伊太夫へ頼んでやったことが、お前の方へは取次がれんのじゃな」
「はい、どのような御沙汰でございましたか……」
「それは不審」
能登守は美しい面を少しく曇らせました。お君はハラハラとした気持が休まりませんでした。やがて能登守はこう言いました。
「ほかではない、わしのところはこの通り女手のない家、それ故に伊太夫の方でさしつかえのない限り、お前にわしの家へ来て働いてもらいたいがどうじゃと、家来をして申し入れたはず、それを伊太夫が断わって来た」
「まあ、そんな有難い御沙汰を……どうして旦那様が」
お君は当惑に堪えないのであります。御支配様からの御沙汰をお請けをするとしないとに拘らず、左様な御沙汰があったならば、一応は自分のところへお話がなければならないはずだと思いました。