Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
「う――む」
と言った米友は、腕を拱いて考え込んでしまいました。
「それからね、米友さん、いつでもいいからそのお方に、わたしを一度会わせて下さいな、そっと、誰にも知れないように、わたしのところへ言伝をして下さいな」
「う――む」
「後生だから頼みますよ、その代り、わたしはまたお前さんの頼みなら何でもして上げますから」
「う――む」
「米友さん、お前さんは、うんうんと言っているけれど、承知してくれたのかえ、承知してくれないのかえ」
「う――む」
「後生だから」
「お嬢さん、俺らはほんとに知らねえんだ、このお屋敷に、どんなお客様が来ているか知らねえのだけれど……お前さんにそう言われてみると、ちっとばかり心当りがねえでもねえんだよ。よし、頼まれてやろう」
「有難う、拝みます」
「その若い人の名前は何と言うんだい」
「それは……あの、宇津木兵馬というの」
「宇津木兵馬」
米友は口の中でその名を繰返して、お松の手渡しする竹筒入りの薬を受取りました。お松は喜びと感謝とで、米友を拝みたいくらいにしているのに拘らず、米友の面には、やはり前からの曇りが取り払われていません。
お松は米友にくれぐれもこのことを頼んでおいて、またこっそりと傘をさして、前の潜りから帰りました。