Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
七
お松が神尾の邸の前まで来かかった時分に、雪を蹴立てて十数人の人が、南の方から駆けて来てこの門内へ入り込みました。
あまりそのことが、あわただしいので、お松は暫らく立って様子を聞いておりました。
「失敗失敗」
口々にこんなことを言いおります。
「どうした、おのおの方」
酔っているらしい主人の神尾が声。
「ものの見事に出し投げを食った、今までかかって雀一羽も獲れぬ。どこをどうしたか、目当ての鶴は、もう巣へ帰って風呂を浴びているそうじゃ」
「こいつが、こいつが」
神尾主膳は、縁板を踏み鳴らしているようです。それから大勢の罵り合う声、神尾の酔いに乗じて叱り飛ばす声。それが済むとまた十余人の連中が、トットと門を走せ出してどこかへ飛んで行きます。
七
宇津木兵馬は、駒井能登守の二階の一室に横たわって、病に呻吟していました。
兵馬の病気は肝臓が痛むのであります。それに多年の修行と辛苦と、獄中の冷えやなにかが一時に打って出たものと見えます。
ここへ来てからほんの僅かの間であったけれども、手当がよかったせいか、元気のつくことが著しいのであります。今も痛みが退いたから、横になっている枕を換えて仰臥して天井を見ていました。