Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
お君の血色にもまた著しい変化がありました。笑えば人を魅するような妖艶な色が出て来ました。そして何事を差置いても、その色艶に修飾を加えることが、お君の第一の勤めとなりました。
お君はこれがために費用を惜しみませんでした。能登守もまた、お君のために豊富な支給を与えて悔ゆることがないのでありました。江戸の水、常磐香の鬢附、玉屋の紅、それを甲府に求めて得られない時は、江戸までも使を立てて呼び求めます。
お君にとっての仕事は、もはや、それよりほかに何事もありません。その仕事は、出来上れば出来上るほどに、お君の形体と心とを変化させずにはおきません。
笑うにも単純な笑いではありません。その笑いの末には罠があって、人を引き落すような笑いになってゆきます。物を言うにも無邪気な言いぶりではありません。そのうちに溶けるような思わせぶりを籠めておりました。物を見る目はおのずから流眄になって、その末には軟らかい針をかけるようになりました。お君はその愛情を独占しているはずの能登守に対してすら、この笑いと、思わせぶりと、流眄とをやめることができませんでした。
能登守というものは、みるみるこのお君のあらゆる誘惑のうちに溶けてゆきました。