Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

女中の世話で朝飯を食べてしまっても、昨夜の男は姿を見せませんでした。お角もなにくわぬ面をしていました。米友もそのことは聞きもしないで、直ちに出立の暇乞いをしました。お角はもっと米友を留めておきたいような口吻でありましたけれど、そんならと言っていくらかの餞別までくれました。そうして、遠からずわたしも江戸へ帰るからあっちでまた会おうと言って、米友のために、二三の知人のところを引合せてやったりなどしました。

そうして米友は、そこを出かけて東へ向って行くと例の袖切坂です。そこへ来ると、いやでも眼に触れるのが、坂の上に立てられてある「袖切坂」の石の道標でありました。

「ここだな」

と思って米友はその石を見ると、袖切坂の文字には昨夜見た通りの朱をさしてありましたが、その文字の下に猿の彫物のしてあることに初めて気がつきました。この猿はありふれた庚申の猿です。庚申様へ片袖を切って上げるとかなんとか言ったのは、やっぱりここのことだろうと米友は、昨晩のお角の言った言葉を思い出して、再び奇異なる感じを呼び起して見ると、その庚申の下に、片袖ではない――下駄が片一方、置き捨てられてあることを発見しました。