Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
しかし神尾殿、あの通り組んずほぐれつの中では覘いは至極困難致す、足を傷つけて下へ落し、命は助けておきたいと存ずるが、一図にそうもなり兼ねる、万一、一矢であの者の息の根を止めても後日の難儀はござるまいか」
「それは念には及び申さぬ、なまじ斟酌して射損ずるよりは、いささかも遠慮せず一矢に射落し候え」
「しからば、仰せの通りに仕る」
「命があってはかえって後日の面倒、ものの見事に射殺して苦しうない、あとの責めは拙者が引受ける」
「しからば」
小森蓮蔵は片肌を脱いで、白重籐の弓に中黒の矢を番えました。
「卑怯だ、卑怯だ」
という声がこの時、周囲の群集の中の誰からともなく起って、
「まだどっちがどうなんだかわからねえんだ、それを無暗に遠矢にかけるのは卑怯だ、もうちっとばかり待てやい、これからの立廻りが面白いんだ」
やはり誰ともなく叫ぶ声であります。それには頓着なく小森蓮蔵は、弓をキリキリと満月のように引き絞って覘いをつけた的は、屋根の上のがんりきの百であります。
小森は弓を満月の如く引き絞りましたけれども、組んずほぐれつの間に、がんりきだけへ矢先を向けることがむずかしい。