Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
八
能登守の言い分は正当であるにしても、せっかく使者に来たお絹にその言い分が快い感じを与えることができませんでした。ましてやこれが神尾主膳の耳に伝わる時は、憎悪となり怨恨と変ずることは目に見えるのであります。
八
神尾主膳はその晩、一人で躑躅ヶ崎の古屋敷を訪ねました。酔っているもののように足許がふらふらしています。
「机氏、机氏」
いつも竜之助のいる屋敷へ、そのふらふらした足どりで入って来たけれども、そこに竜之助がいませんでした。
「竜之助殿、どこへ行った」
と言いながら、そこへドカリ坐ってしまい、それから酔眼を据えて室内を見廻しました。
例の通り、丸行燈に火が入っているにはいたけれども、それは今や消えなんとしているところであります。
「いやに暗い火だ、明るくない燈火だ、もっと明るくなれ、明るくなれ」
主膳は燈火に向って、こんなことを言いました。その舌の縺れ塩梅を見れば、かなりに酔っていることがわかります。
「誰もおらぬか、誰ぞ来い、あの燈火をもっと明るいように致せ、こんなにして燈心を掻き立てるがよい、燈心を掻き立てさえ致せば、火はおのずと明るくなるのじゃ、早う致せ、誰もおらぬか、誰ぞ来い来い」