Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
そうして、わたくしばかりでなく、三津子さんもその山女のフライには箸をつけないのです。どうという取り留めた理屈もないのに、山女という魚を中心にして、どの人もなんだか暗い気分を誘い出されたらしいのは不思議なことで、わたくしは詰まらないことを言い出したのを今さら後悔しました。しかしそれもほんのちっとの間で、関井さんの夫婦はすぐに元の晴れやかな顔色に戻って、再び東京の噂や、ここらの山住居の話などを始めて、それからそれへといろいろの話に花が咲きました。
「あなたもさぞお疲れでしょう。今夜はもうこの位にして、あした又ゆっくりお話をうかがいましょう。」と、関井さんは言いました。
それは置時計が十時を打った頃で、山奥の夜はいよいよ冷えて来ました。ランプの灯を慕って来たらしい機織り虫が天井で鳴き出しました。三津子さんは縁側に出て、空を眺めているようでした。
「ちょっと来て御覧なさい。星がずいぶん綺麗ですこと。」
呼ばれてわたくしも出てみると、星はさっきよりもおびただしい数を増して、どれが天の河だか判らないくらいに、低い空一面にかがやいていました。外には暗い杉の木立がすくすくと突っ立っているばかりで、山風の音もきこえません。