Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
」
山女――それが又、狼とおなじようにわたくしの耳に強くひびきました。山女がどうしたのであろう、誰が山女を持って来たのであろう。さっきの山猿のような女の児の姿が再びわたくしの眼のさきに泛かび出しました。じいやの声はそれぎり途切れて、その後はなんの音もないので、三津子さんはほっとしたように縁さきへ引っ返して来ました。
寝床を敷いてもらって、わたくしは枕に顔を押し付けました。蚊はいないというので、七月の末にも蚊帳を吊ってありませんでした。一日の疲れで、定めて正体もなしに寝られるだろうと思っていましたのに、なぜか眼が冴えて眠られません。寝どこが変わったせいばかりでなく、これにはなんだか訳がありそうに考えられてなりませんでした。山猿のような女の児と山女と――それが不思議にわたくしを寝苦しくさせるようでした。わたくしは午前二時の時計の音を聞いて、それからようよう寝付きました。
夜があけると、一面の霧でした。じいやが氷のように冷たい水を汲んで来てくれたので、それで顔を洗って、わたくしは生き返ったようなさわやかな気分になりました。けさも三津子さんは台所の方が忙がしそうなので、わたくしも何かお手伝いをしましょうと言いましたが、三津子さんはどうしても承知しませんでした。