Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
お島さんはまだ気になると見えて、今度はそばに立っている僕の方へ話を向けた。
「ねえ、福原さん。あれは何でしょうね。」
「さあ、けものの角か、さかなの歯か、何かそんなものらしいね。」
「あんな長い歯や口ばしがあるでしょうか。」
「そりゃないとも限らない。ウニコールもあるからね。」
「ウニコールって何です。」
僕も面倒になって来たので、かの紳士とおなじようにいいかげんな返事をして表へ出てしまった。お島さんにむかってウニコールの講釈をしているよりも、早く海岸へ出て夕方のすずしい空気を呼吸したいと思ったからであった。表へ出て、まだ一間とは歩き出さないうちに、うしろからお島さんが追いかけて来た。
「福原さん、これあなたのじゃありませんか。」
入口の土間に落ちていたといって、お島さんは新しいハンカチーフをひろって来て見せた。
「僕のじゃない。」
「じゃあ、あの水沢さんのに違いない。あなたも海岸へ行くなら同じ道でしょう。途中で逢ったら届けてあげて下さいな。」
ハンカチーフを僕の手に押し付けて、お島さんは内へ引っ込んでしまった。夏の初めから三月あまりも逗留して、家の人達ともみんな心安くなっているので、お島さんも遠慮なしにこんな用を言い付けたのであろうが、言い付けられた僕はあまり有難くなかった。