Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
僕の祖母も母もやはり地蔵さんと呼んでいた。
その晩、家へ帰ると、僕の戻りの遅いのを幾らか不安に思っていたらしい祖母や母も、地蔵さんと一緒に帰って来たと聞いて喜んでいた。祖母はあくる朝、かの尼が托鉢に来るのを待ち受けて、きのうの礼を頻りに言っているらしかった。
それからふた月ばかりは別に何事もなかったが、五月ももうなかば頃のことと記憶している。ある晩、父がかの田崎の小父さんのところへ行って、酒の馳走になって夜更けて帰って来ると、原の出はずれで不思議なことを見たと言った。
「あの尼はどうもおかしい。おれが今あすこを通ったら、石の地蔵さまにしっかりすがり付いて、何か泣いているようであった。」
「いつもの御信心でお地蔵さまを拝んでいたのでしょう。」と、母は別段気にも留めていないらしかった。
「それに相違ない。お前は酔っているから何かおかしく見えたのだろう。」と、祖母も母に合い槌を打った。
なにぶんにも酔っているという弱味があるので、父はあくまでも自分の目を信ずるわけにもいかないらしかったのと、かの尼に対して格別に強い信仰も持っていなかったのとで、父もそれに対して深く反抗しようともしなかった。