Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
『なんじゃ』
一室の内には、内匠頭のほかに、夫人も侍していた。小姓が襖を静かに引くと、白髪交りの安井の頭と、月代に赤黒いしみが斑になっている藤井又左衛門の頭とが、並んで平伏していた。
『最前、仰せ付けられました、吉良殿への挨拶にござりまするが』
『うム』
『何せい、先様の上野介殿は、四位の少将、高家衆でも、歴乎とした御方、それへ、参上いたしますに、賄賂がましゅう、進物などは、かえって、不敬に思われますし……と云うて、御挨拶のみでも、相成るまいかと、両名して談合いたしましたが、殿のお思召の程は、どうでござりましょうか』
『左様? ……』
と、内匠頭も、その辺の、世事には、まことに晦かった。
『そち達の、考えとしては、何うなのか』
『されば、式事の御指南を仰ぐとは申せ、それは、高家衆の当然なお役がらです。公務であって、私事ではございませぬ。御当家の大命が、滞りなく、おすみになった後のお思召と申すなら格別、当座は、何ぞ、印だけの物で、よくはないかと心得まするが』
夫人の眸に、心もとなげな影がうごいた。しかし、家老たちの意見である。よそに聞きながら、庭面の緑を見つめていた。