Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
そうかと思うと、戦でも始まるような風説を流す者もある。その説は多く、何か世間の乱れを待っている不平や浮浪者の群から出ていた。
とにかく、世間は異様に興味をもった。眼をそばだてて二挺の早駕を見送った。二人は天下の眼の中を、眼を閉じて、駈けるのだった。
三平の駕籠の内では、時々嘔吐気につきあげられるような声がしていた。平常から神経質な性で、健康な方ではないらしい。か細い肉体に、情熱の方が勝っていた。それだけに優美な青年でもあったので、内匠頭にも、十三歳の頃から小姓として愛されていたし、友人間からも好ましがられていたが、今度の急使のお役目には、藤左衛門は自分の身よりも絶えず彼の身の方が、案じられていた。
その萱野三平の生れた家は摂州萱野村にあった。代々の郷士であって、屋根に草の花が咲いている古い土塀門の構えが、ちょうど、東海道の往来に向って建っていた。
『おお……故郷だ』
早駕が、その街道へかかると、三平は、無量な感に打たれていた。
覚えのある柿の木がある。幼い時に見たままの味噌屋の土蔵だの、綿屋の暖簾が、平和な春の風にふかれて見える。
ここのお陣屋の大島出羽守の推挙で、赤穂へ御奉公に出たのが、十三の年の、ちょうどやはり今頃だったと思う。