Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
投げ出すように云って、内蔵助の顔をみたが、内蔵助は、新左衛門が弾いている算盤へ眼をやりながら、やがて、それに示された数字を読んで、
『六歩換えにはできる』
と、やや愁眉をひらいて云った。
『六歩換え?』
九郎兵衛は、聞き咎めて、
『――それでは、藩の御在金は、一両も残らぬことになるが、この後の一藩の進退、諸入費、いかがなさるおつもりじゃ』
『後は後のこと。そう考えるよりほか、この場合はいたし方ない。あわれな彼らの生活こそ、何事よりも、先に見てやらねば……のう』
『滅多なこと成されては困る』
上席家老ではあっても若い内蔵助へ対しての彼の態度は、常に、年上として高く臨んでいた。人間的には、両方とも、好きでも嫌いでもない程度につきあっているし、藩務も円滑に行っているが、九郎兵衛の眼から見ると、どこやら内蔵助はまだ乳くさい気がしてならない。平常の仕事ぶりも切れ味がわるいし、物腰はどことなく鈍重で家柄なればこそ上席と立てているものの、自分がなければ五万三千石の締めくくりができる男ではないがとは、いつも彼が内蔵助を見る常識であった。
その内蔵助が、感情の昂ぶっているせいもあろうが、ひどく独断的で、ものをいうにも、相手に反対を云わさぬような力を語尾にこめているので、九郎兵衛は、大人気ないと思いながらも、彼に対して初めて、反感