Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
『――実は、ここへ来て、会わせる顔もないのだが、仮面を被ったような気持で、閾を跨いで来た。世の中に、義理ほど辛いものはないというが、俺は、進退谷まった。何をかくそう、いつぞや江ノ島で会ったあの内田勘解由から、すっかり見込まれて、兄や、叔父までも抱きこまれ、この俺に、聟になってくれというわけだ……』
『…………』
『勿論、俺は断った。断乎として、強情を張って来たのだ。然し、兄や叔父に、その理由を云えと迫られると、何と云い抜けようもない。わけて、兄は、内田家に恩義があり、俺に、相談する前に、弟に異論のあるはずはない。あったにせよ、兄が説服して――とまで、ひきうけてしまっているじゃないか。切腹ものだと泣きつかれるのだ……。それでも、拙者としては』
『暫く』
安兵衛は、眼を反らして止めた。
聞いているほうが彼以上に胸ぐるしい。血をもって結んだ友達の、こんなあらい呼吸から吐く声を、長く聞いていられる程、安兵衛は残忍になれなかった。
『わかったよ、高田』
『ま、聞いてくれ』
『いや!』
その拒みは厳しかった。
『それ以上、聞く要があるか。もういい。奥田老人にも、明日、伝えておく』