Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
『…………』
内蔵助は、足にからんでいる絹夜具をのけて起き直った。
嬰児の夜泣きが、まだ時々する。
父として。
さむらいとして。
又、一個のただの人間として。
彼は、複雑な自分の身を、凝と、他人のように、噛みしめてみた。おもしろいと思う。実に、世の中は、又人間は、おもしろいと思う。何を今、悲しむことがあろう。――何もない。
人間と生れたればこそ、この複雑な生を味わうことができる。生れなかったらそれまでのことだ。生れ徳とも思えないことはない。
いやしむべき色廓だと人は云う。然し、彼には、少しも、そういう狭い癖潔は感じられなかった。
ここも世の中。みな、あたたかい人間たち。
生きているうちに感じられるもの、味わえるもの、娯しめるもの、たとえば、今の一瞬でも、あるがままに、在るところに、娯しむのに何の不自然――何の不徳。
『ただ……散り際じゃ……為すか、為さぬか』
それを思うと、ひしと肉が緊まる。
もし、為すことを為さずに終ったら、伏見がよいも、祇園遊蕩も、すべて、蕩児の極道事に帰するのだ。今日までのあらゆる事々、皆、虚偽と醜行の履歴でないものはなくなるのだ。