Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
では、本当の品川四郎が、こんな嘘をついて、芳江をおびき出そうとしているのだろうか。行先は池袋だ。池袋と云えば例のラスト・マーダラアの跳梁した怪屋の所在地だ。この男はどうやら芳江をそこへ連込もうとしている様子であるが、まさか本物の品川がそんな真似をする筈はない。青木が池袋にいるなんて嘘を云う理由がない。では、ここにいる男は、幽霊男でもなく、本当の品川四郎でもないとすると、奇怪奇怪、又しても全然別な第三の品川四郎が出現したのであろうか。変な云い方だが、品川という男、一体幾つ身体を持っているのか。(だが、読者諸君、あんまり馬鹿馬鹿しいと怒ってはいけない。この謎はじきにあっけなく解けるのだから)
途中何のお話もなく、車は池袋のとある一軒家に着いた。案の定それは例の怪屋であったが、芳江はそれとも知らず、品川そっくりの男のうしろから、そのうちへ這入って行った。
「マア、妙なうちですこと。まるで空家の様じゃありませんか」
芳江は家具も何もない、ひどくほこりの溜った、広い板床の部屋を見廻して、不気味そうに尋ねた。
「青木はどこにいますの」
品川そっくりの男は、うしろ手に、ピチンと扉の鍵をかけて、ニヤニヤ笑いながら答えた。