Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
持病の退屈がけし飛んでしまうこと
「ハハハハハ、何を云ってるんだ。冗談はよし給え」
「アア、そうだった。君は品川君だね。もう一人の男じゃなかったのだね」
愛之助は、そう云ったまま、ふいと格子戸の外へ出て行った。
まるで悪夢につかれた人間のように、彼の足は蹌踉として定まらないのであった。
持病の退屈がけし飛んでしまうこと
別宅へ帰って見ると、よく掃除の行届いた小ぢんまりとした家の中に、芳江は婆やを相手に、つつましく留守番をしていた。
狭い家だから、夫婦の寝室は襖一重だった。二階の八畳の客間の方に愛之助の、六畳の次の間の方に芳江の床がのべてあった。
愛之助が床に這入って、仰向きになって煙草を吸っていると、その枕下の桑の角火鉢によりかかる様にして、芳江は何かと話しかけるのであった。
それは主に滞京中の遊楽予定についてで、久し振りの歌舞伎が楽しみだとか、福助が早く見たいとか、何日の音楽会は誰さんのピアノが一番聴きものだとか、女の癖に東京風の牛鍋が早くたべたいとか、とか、とか、とか、甚だ朗かで且饒舌であった。
彼女の好みで旅行にさえ持って出る、部屋着の派手な黄八丈の羽織を着て、ウェーヴがくずれて、恰好のよい頭の形のままに、少しネットリとなった洋髪の下から、なめらかな頸筋が覗いていた。